一番、イメージが付きやすいのが、バスの団体旅行などでご案内をするガイドさんではないでしょうか。しかし、実際の添乗員の仕事では、観光地の紹介をするだけでなく、「時間通りに目的地を回れているか」「お客様は迷子になっていないか」などにも配慮しなければなりません。(こういった業務を「旅程管理業務」と言います。)トラブルを未然に防止することや、お客様のクレームにも対処しなければならない大変な場面もありますが、同行したツアーを無事に終えられた時のお客様からの「ありがとう」は何事にも替え難いものです。
添乗員の正式な名称を「旅程管理主任者」と言います。
添乗員としてお仕事をされるためには、「旅程管理主任者資格」を取得する必要があるのですが、この資格の取得にはそれぞれ細かいルールがあります。
ここでは、かなりざっくりと取得に必要な3つのポイントについてまとめてみました。
名前が似ている「旅程管理主任者」と「旅行業務取扱管理者」。旅行業界に興味を持ったらおそらく聞くようになるこの2つのワードですが、資格の目的など、どのような違いがあるのでしょうか。簡単に以下の表にまとめてみました。
旅行業務取扱管理者… | 旅程管理主任者… | |
---|---|---|
所持が求められるケース |
旅行会社や営業所を立ち上げる際に、社員の中に一人有資格者が必要 |
旅行会社が実施する旅行に添乗員としてツアーに同行する際に必要 |
資格の種別 | 国家資格 | 公的資格 |
取得の仕方 | 年に一回行われる国家試験に合格 |
登録された研修機関が実施する研修を受講、試験に合格+実務経験を一定期間積む |
資格の証明 | 試験実施機関から発行される合格証書 | 受講した研修機関から発行される修了書 or 「旅程管理主任者証」 |
旅行業法によれば、営業所に設置された旅行業務取扱管理者には「旅行計画の適切な作成」、「適正な広告の作成」、「旅程管理業務を行う主任の者を通じた管理・監督」が求められます。
簡単に言うと、旅行業務取扱管理者は「デスクやカウンターにいて、旅行の作成から事後処理までを監督する人」、旅程管理主任者は「旅行会社から依頼を受けて現場で安全確保や旅程管理を担う人」ということになります。
旅程管理主任者にある「公的資格」とは、民間団体が実施し、省庁や大臣が認定する、国家資格に準ずる資格です。
旅程管理主任者資格は、国土交通大臣認定の公的資格で、実施は国土交通省の外局である観光庁に登録された研修機関(多くは旅行会社)が担います。
True Japan Tour株式会社も第46号として観光庁から登録研修機関の登録を受けています。
旅程管理主任者は取得の仕方が少し複雑になります。まず、登録研修機関の研修を一定時間受講したうえで、修了試験を受験します。合格された方には、修了証が渡されます。
ただ実際に添乗員として仕事をするには、研修の受講とは他にツアーに有資格者と一緒に参加して指導を受けるか、実地研修を受けるなどして、実務経験を積む必要があります。
旅行業務取扱管理者資格は、合格後に付与される合格証書で証明が可能です。
それに対し、旅程管理主任者として仕事をするためには、「旅程管理主任者証(上部イメージ)」の発行が必要です。この主任者証を発行する為には、上記の研修受講に加え、旅行会社に所属する必要があります。
記事上部では、添乗員としてお仕事をされる為に必要な3つのポイントをざっくりお話ししました。ここでは細かく見ていきたいと思います。
STEP1 旅程管理研修を受講 |
まずは登録研修機関が実施する旅程管理研修を受講します。研修の科目には、「旅行業法科目」と「旅行実務科目」の2種類があり、それぞれの科目を定められた時間受講した後、2科目の修了試験を受験します。2つの科目で60点以上を取得されたら、旅程管理研修を修了、ということになります。 |
STEP2 または実地研修を受講 |
次は、実務経験を積みます。既に資格を有しているチーフ添乗員と一緒にツアーに参加するか、実地研修を受けましょう。派遣の方や、フリーランスの通訳案内士の方などは、研修機関の一部が実地研修も実施していますので、そちらで実務経験を積むことが可能です。 |
STEP3 旅行会社に所属 主任者証の発行 |
業務に従事するときに携帯が必要な旅程管理主任者証は派遣業者の場合を除いて、旅行会社に所属しないと発行されません。何故なら、旅程管理主任者証は、国や省庁ではなく各旅行会社がそれぞれ発行するものだからです。本来の流れとして、旅行会社が実施する旅行に旅程管理主任者として同行する際に必要なので発行されるといった形になります。 |
※通訳案内士資格とは、日本を訪れる訪日外国人観光客を外国語で案内することのできる、国家資格の一つです。
また仮に「旅程管理主任者」の資格の有無を問われないタイプの旅行であっても、実際の通訳案内士の業務においても、外国語での観光案内だけでなく、タイムスケジュールの管理やお客様の安全の確保など、旅程管理主任者としての知識やスキルを問われる場面ばかりです。通訳案内士として稼働していく為には、「旅程管理主任者」資格を取得しておくのがかなり望ましいと言えます。