2018.10.13 追記
追記 2018年の8月に初めて通訳案内の実務科目の本試験がお披露目となりました。どのような問題が出題されるかが注目の的でしたが、蓋を開けてみると以下のような素直な問題が意外にも多く出題されました。
通訳案内研修等に関する法の規定について説明した以下の文章に関して、次の各問に答えなさい。
全国通訳案内士は、5年ごとに登録研修機関が実施する通訳案内研修を受けなければならない。都道府県知事は、全国通訳案内士が通訳案内研修を受けていないと認めるときは、当該全国通訳案内士に対し( ア )または期間を定めて全国通訳案内士の名称の使用の停止を命ずることができる。 全国通訳案内士は、通訳案内研修のほか、( イ )に関する講習を受けることその他の全国通訳案内士として必要な知識及び能力の( ウ )に努めなければならない。
問1 空欄( ア )に当てはまる語句を次の①~④の中から一つ選びなさい。
①業務の停止 ②登録の取り消し ③20万円以下の過料 ④6箇月以下の禁固刑
問2 空欄( イ )に当てはまる語句を次の①~④の中から一つ選びなさい。
①外国語 ②日本史 ③観光地 ④日本文化
問3 空欄( ウ )に当てはまる語句を次の①~④の中から一つ選びなさい。
①開発 ②育成 ③発達 ④維持向上
「全国通訳案内士試験ガイドライン」の記載通り、ほぼ全ての問題が、出題範囲とされていた「観光庁研修テキスト」からの出題でしたね。
2018年は予想されていたよりも難易度は低かったと謳われている本科目。来年はこの反動を受けて難しくなるのでしょうか。
2018年の試験通りであれば、2019年以降の「通訳案内の実務」の試験範囲もこちらのテキストから出題されるでしょう。それは、「観光庁研修」で使用されているテキストです。「観光庁研修」とは現在、既に資格をもっている方が受講を義務付けられている、フォローアップの研修のことです。そのテキストはこちら。
ボリューミーな内容ですが、大きくは①旅程管理やコンプライアンスに関する知識、②危機管理や災害発生時における適切な対応、③外国人ごとの生活文化への対応に分類されます。
「出題されるテーマが多岐に渡っていて対策が間に合うのか?」と不安になる方も多いことでしょう。2月に発表された観光庁の今後の方針に関する資料の中には、「こんな知識を今後重視していく!」と記述があります。1つずつ見ていきましょう。
ここでは、通訳案内士が業務に就くにあたって最低限知っておくべき知識について問われるものと思われます。今回の一連の法改正の流れと内容から考えると、以下のような知識についてカバーしておく事が重要になってくると考えられます。
旅行業法も今回の法改正で改正されています。特にランドオペレーター等の業務の適正化を図る制度の導入などが大きな改正点となります。
バスの添乗員さん達に対する「旅程管理」(企画募集旅行に関する事・約款等に関する事・旅行中の補償責任に関する事等)は、「旅程管理主任者研修」を受講して学ぶものですので、ガイド試験で問われるとは考えにくいです。
出題として考えられるのは、集合時間や場所の周知等の簡単な旅程管理業務に関する事、温泉の入り方や和式トイレやウォシュレットの使い方、旅館での配慮などに関する内容の出題が考えられます。
特に今回改正された部分についての知識は重要です。今回の改正で通訳案内士の資格が業務独占から名称独占へと変更になりました。
また、資格自体についても「全国通訳案内士」と「地域通訳案内士」とに分けられます。
通訳案内士としてお仕事をするにあたって、法律上禁止されている行為について基礎的な知識を持つ事は大変重要です。
コンプライアンスに関する事、ガイディング資料を作成する際の著作権法やバスツアーの際等に留意すべき道路運送法等について勉強しておく必要がありそうです。
地震大国日本において、万が一の時にお客様を安全に誘導できることは、通訳案内士としての必須技能です。
急な病人が発生した場合の応急手当やAEDの使い方についての知識や外国人を受け入れてくれる医療拠点病院等に関する基本的な知識は常日頃から専門の記事等に目を通して、知識を養っておく必要があります。
他にも発表資料によれば観光庁のSafetyTipsやインバウンド向け旅行保険に関する問題も問われる可能性があるとのこと。以下の観光庁資料は是非お読みください。
最近では、イスラム教徒の方に対するハラル対応や、礼拝に対する理解等が旅行業者に限らず必須事項となっています。通訳案内士試験においても、外国のお客様をご案内する際の基礎知識について問われるようです。
ハラル対応等だけではなく、ヒンドゥー教の方の食事制限等について問う問題が出されそうです。お食事処にお客様をご案内する事もガイドの重要な仕事の一つですが、その際食物アレルギーに関する知識は必須です。
特に、お蕎麦アレルギーをお持ちの外国人の方がとても多いので、試験のネタとしては十分に可能性が考えられます。
各国の消費動向や慣習などの国別の特徴に関する基本的な知識を問う問題も出題されるかもしれません。発表資料から推察すると引き続き、一般常識対策としても『観光白書』に目を通しておいた方が良いかもしれません。